



Director's Dental Blog
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会 会員
公益社団法人 日本口腔インプラント学会 会員
ILSC即時荷重研究会 理事
千葉県船橋市 船橋森谷歯科クリニック 院長
歯科医師 丸林浩太郎
歯科衛生士 末永亜央依
こんにちは!
千葉県船橋市の歯医者、船橋森谷歯科クリニック、歯科衛生士の末永亜央依です。
前回のブログは「お口のトレーニングについて」という内容でした。
今回は「よく噛むとどんなメリットがある?」という内容でお話ししたいと思います。
日頃食事をするときに必ず咀嚼と嚥下をします。
咀嚼とは、食べ物を細かく噛んで砕き、すり潰して唾液と混ぜ合わせ、飲みこみやすくまとめる作業をいいます。
嚥下とは口の中で咀嚼した食べ物を飲み込み、食道から胃へ送り込む一連の動作のことをいいます。
食事の際には「ひと口30回噛みましょう」というのを聞いたことがある方も多いと思いますが、それには様々なメリットがあるからなんです!
また、食べ物を認識してからそれを飲み込む(嚥下)までの過程には、5つの段階(ステージ)があります。
まずはその嚥下のステージについて細かく解説していきます!
食べ物や飲み物を口に入れて飲み込む過程には下記の5つのステージに分けられます。
1.先行期
2.準備期
3.口腔期
4.咽頭期
5.食道期
1. 先行期
先行期とは、食物を視覚や嗅覚で認識し、何を食べ、どのように食べるかを判断するステージです。
食べる前に固い食べ物と視覚で認識し、これは固いからよく噛まないと!と思う過程がこの先行期というステージです。
2. 準備期
準備期とは、食物を口に取り込み、咀嚼して飲み込みやすい大きさにする(食塊形成)ステージです。
食べ物を唾液と混ぜて、食塊つくり舌背(舌の上の中央部分)に乗せます。
3. 口腔期
口腔期とは、咀嚼によって作られた食塊を、舌を使って咽頭(喉の奥)へ送り込むステージです。
4. 咽頭期
咽頭期とは、食べ物を咽頭を通じて食道へ送り込むステージです。
◎この咽頭期は誤嚥を防ぐ重要なステージです。
5. 食道期
食道期とは、食べ物が食道を通って胃に送り込まれるステージです。
「食べ物を食べる」という行為は、普段何気なく行っていることですが、実はこの5つのステージが正常にかつスムーズに行われているのです。
どのステージも重要であることは変わりないですが、今回ははとくに「噛む」ということを重要視しているため、準備期にフォーカスを当てて解説していきますね!
前述のように、準備期とは食べ物を噛んで飲み込みやすい大きさにする、まとめる(塊にする)期間のことを指します。
ここで重要になるのが咀嚼(そしゃく)です!
限度はありますが、噛めば噛む程いいことが沢山あります!
その「いいこと」それらを紹介していきます!
①誤嚥を予防する
よく噛むことで、食べ物が飲み込みやすい形に整えられ、むせや誤嚥のリスクが軽減されます。
②脳の活性化
咀嚼することで脳を刺激し、集中力や記憶力の維持に役立ちます。
学生の方など勉強で集中力を上げたい方はガムなど噛むのがオススメです!
車の運転も眠気を覚ますためにガムを噛む方もいらっしゃると思います。
ガムを食べる場合は、キシリトールが入ったものにすると、むし歯の予防にもなりますよ!
また、食べ物を噛むたびに、脳(特に記憶や判断を司る前頭葉)を刺激し、血流が増えることで、脳の働きが活発になり認知症予防にも効果があるとされています。
特にむし歯や歯周病などで歯を失ってしまうと固いものが食べづらくなり、柔らかい物しか食べられなくなったりします。
それが習慣化すると、次第に「噛む力」が弱まってしまいます。
これが進むと、脳への刺激も減り、認知機能の低下につながると考えられています。
③満腹感が得られやすい
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぎ、肥満予防にもつながります。
④消化を助ける
食べ物を細かくし、唾液と混ぜることで胃や腸への負担を減らし、消化吸収がスムーズになります。
⑤味覚の向上
よく噛むことで食材の風味が広がり、より豊かに「味わう」ことができます。
⑥口周りの筋力維持
咀嚼は口の周囲の筋肉を使う運動なので、衰えを防ぎ、嚥下機能の維持にもつながります。
このように、「噛む」ということはこんなにもたくさんのメリットがあります。
一般的には、一口につき30回程度噛むと良いとされています。
また、咀嚼には健康な歯が不可欠であることは言うまでもありません。
健康な歯を守るためには普段の口腔ケアがとても重要になってきます。
歯を失う原因として代表的な疾患として歯周病やむし歯などが挙げられます。
歯周病やむし歯を予防するためにもお口の健康を保っていきましょう!
お口の中を健康に保つポイントはズバリ以下の4つです!
①毎日の歯みがき
②清掃補助器具(フロスや歯間ブラシ)の使用
③定期的な歯の検診(メンテナンスは3か月に1回程度が目安)
④正しい食生活と禁煙
①毎日の歯みがき
1日2~3回丁寧に行いましょう。特に、奥の歯はとても磨きにくいので重点的に歯ブラシをあてましょう。
②清掃補助器具(フロスや歯間ブラシ)の使用
歯ブラシだけでは60%程の汚れしか取れないといわれています。
歯ブラシだけでは落とせない汚れを除去するために、できるだけ毎日使いましょう!
フロスや歯間ブラシの選択についてはこちらのブログをご覧ください。
③定期的な歯の検診(メンテナンスは3か月に1回程度が目安)
健康なお口を維持するためには定期的な歯の健診がとても重要です。
また、初期のむし歯や歯周病は自覚症状がないことも多いため、定期的に検診を受けることで早期発見・早期治療ができます。
症状がなくても定期検診を受けることで普段自分では確認できない歯垢や歯石を歯科衛生士によるクリーニングで、落としてもらうことができます。
④正しい食生活と禁煙
なるべく砂糖などのむし歯になりやすいものは控え、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
また、喫煙は歯周病の重大なリスク要因のひとつです。
禁煙が歯周病の予防に繋がります。
今回は準備期を中心にお話ししてきましたが、準備期の後の飲み込む過程(咽頭期)も「食事をとる」上でとても重要になってきます。
食べ物や飲み物を口から喉、喉から食道へとスムーズに送り込む機能が低下する状態のことを嚥下障害といい、
• 食事中にむせる、咳き込む
• 声がかすれる
• 食後に熱が出やすい(誤嚥性肺炎の兆候)
• 食べるのに時間がかかる、疲れる
などの症状が見られます。
昨今注目されている「オーラルフレイル」はこの嚥下障害の前段階です。
オーラルフレイルと嚥下障害は深い関わりがあります。
※オーラルフレイルとお口の筋肉のトレーニングについてはこちらのブログをご覧下さい!
実は「咀嚼」は、健康への第一歩と言っても過言ではありません。
「噛む」ことは、ただの動作ではなく、脳や全身によい影響を与える大切な働きです。
そして「よく噛む」ことは消化を助け、脳を活性化し、誤嚥や認知症の予防にもつながります。
みなさんもまずは「噛む」ことを意識してみてはいかがでしょうか?
そのためにはお口の中を清潔に保ち、お口の健康を維持することが欠かせません。
毎日の口腔ケアも、健康に「食べる」ための大切な習慣です。
「噛む」ことと同時に日々のお口のケアも意識してみてくださいね。
船橋森谷歯科クリニックでは小学生以上の患者さまのほぼ全員に対し口腔清掃指導を行っています。
正しい歯みがきの仕方やデンタルフロス、歯間ブラシのサイズや選び方など、分からない事や気になる事があれば、スタッフにお気軽にご相談下さい!
「ずっと美味しく食べられる」毎日を目指して、今日からお口の健康を大切にしていきましょう!
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