



Director's Dental Blog
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会 会員
公益社団法人 日本口腔インプラント学会 会員
ILSC即時荷重研究会 理事
千葉県船橋市 船橋森谷歯科クリニック 院長
歯科医師 丸林浩太郎
歯科衛生士 田村麻希
こんにちは!
千葉県船橋市の歯医者、船橋森谷歯科クリニック、歯科衛生士の田村麻希です。
前回のブログは「お口の中のできもの 種類と特徴について」という内容でした。
今回は「お口のトレーニング」についてお話ししたいと思います。
みなさん、お口のトレーニングをしたことはありますか?
お口の周りにはたくさんの筋肉があります。
口腔周囲筋と呼ばれ、舌・頬・唇・顎などの筋肉が含まれます。
口腔周囲筋は食事や会話で日常的に使われていますが、それだけでは十分には使えていないため衰えていきやすいという特徴があります。
筋力が衰えてしまうと、むせやすくなったり、しっかり噛んで飲み込めなくなったり、滑舌が悪くなったり、誤嚥性肺炎のリスクが高まったりと良くない事がたくさんあります。
このようなお口の機能の衰えを「オーラルフレイル」と呼びます。
オーラルフレイルとは、加齢などにより噛む力・飲み込む力・話す力といった口腔機能が徐々に低下していく状態のことを指します。
初期の段階では少しの変化であるため見過ごされがちですが、放っておくと食事や会話がしづらくなったり、全身の健康にも影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
こうした悪循環を防ぐためにも、日頃からお口の筋肉を意識的に使ってトレーニングすることがとても大切です。
口腔周囲筋のトレーニングにはいくつか方法があるので、今回はその方法と効果について皆さんにお話しようと思います。
あいうべ体操はとても簡単な体操で、準備するものもなくどこでもできることから保育園や高齢者施設でも取り入れられている、老若男女問わず効果のある万能なトレーニングです!
①「あー」と口を大きく開く
②「いー」と口を大きく横に広げる
③「うー」と口を強く前に突き出す
④「べー」と舌を突き出して下に伸ばす
①〜④を1セットとし、朝昼晩に10セットずつを目安に毎日続けます。
声は出さなくても大丈夫です。
※お食事の時にむせやすかったり飲み込みにくさを感じる方はお食事前の準備体操としてやっていただくのがオススメです!
(注意)あいうべ体操は口や舌を大きく動かすことがポイントですが、顎関節症の方や口を開けると痛みがあるという方は顎に負担をかけない「い〜」「う〜」だけを繰り返すなど、無理のない範囲で行ないましょう。
あいうべ体操は効率よく色々な筋肉を鍛える事ができるため様々な効果があります。
①口呼吸の予防改善
正しい舌の位置は、舌の先が上の前歯の裏側のザラっとするところ(切歯乳頭)にピッタリとくっついている状態です。
ところが、舌の筋肉が衰えると舌が上につかず、下に落ちた状態になります。
これにより、下あごが下がって自然にぽかんと口が開きやすくなってしまいます。
最近はお口がぽかんと開いているお子さんも多いです。
本来はお鼻で呼吸することで鼻毛で細菌やウイルスなどが体内に入り込むのを防いでくれていますが、口呼吸をしていると、直接体内に細菌やウイルスが入り込んでしまうため、感染症にかかりやすくなったり、口が乾燥することで虫歯や歯周病のリスクが上がったり、口臭が強くなったりします。
口呼吸が改善することでそれらの予防やいびきの改善などたくさんのメリットが期待できます!
②脳の活性化
あいうべ体操は脳トレにもなっています。
舌筋には、舌下神経(ぜっかしんけい)という神経が通っています。
舌下神経は全部で12対ある脳神経の中の一つで、脳に直接つながっています。
そのため、舌を動かすことで効果的に脳を刺激し、活性化することができます。
③小顔効果
たくさん顔を動かすため引き締めの効果やリフトアップの効果、さらに顔や首の血流が促進されるため浮腫み解消の効果もあります。
女性には嬉しい効果ですね!
④飲み込む力の強化
舌筋が鍛えられることで、飲み込みがスムーズに行えるようになります。
飲み込む力が強化されると誤嚥性肺炎のリスクも下がるため、とくに普段むせやすい方にはとても効果的なトレーニングです。
ぶくぶくうがい体操は、うがいと言いつつも水ではなく空気をお口に含んでしっかりと頬を膨らませるトレーニングです。
①両頬を膨らませて「ぶくぶく」10回
②右頬だけを膨らませて「ぶくぶく」10回
③左頬だけを膨らませて「ぶくぶく」10回
④最後にもう一度両頬を膨らませて勢いよく「ぶくぶく〜!」10回
※食事の前に行うと食事前の準備運動になり、入浴時に行うと身体が温まり血流がよくなるため効果的です。
①食べこぼしの予防
頬や唇の筋力が上がり、口をしっかり閉じて食事ができるようになるため食べこぼしが減ります。
②口の中に食べ物が残りにくくなる
歯と頬の間に食べ物が残りやすい方、意外といらっしゃると思います。
歯と頬の間に食べ物が残りやすい原因のひとつとして、頬の筋肉が上手く使えていない事が挙げられます。
頬の筋力が上がると食べ物を歯のほうに押し戻す力が強くなるため、食後の「頬の中に食べかすが残る問題」の改善が期待されます。
とくに 片側だけに食べ物が溜まりやすい方は、左右バランスよくぶくぶくさせると良いです。
ベロ回し体操は舌を使って口の中で大きく円を描くように動かすトレーニングです。
① 口を閉じたまま、舌先で歯ぐきの外側をなぞるように大きく回します
② 右回りに10回、左回りに10回ゆっくり行います
1日2〜3セットを目安に繰り返しましょう。
※力を入れすぎず、リラックスして行うのがポイント。
※テレビを見ながらやお風呂の中など、スキマ時間に取り入れやすい体操です。
① 表情筋のトレーニングでたるみ予防・リフトアップ効果
口輪筋など口周りの筋力がつき、顔全体の印象が引き締まります。
② 滑舌が良くなる
舌の筋肉が強化されることで舌の動きがスムーズになり滑舌がよくなります。
③ 唾液の分泌が増え、虫歯・口臭予防に
唾液はお口の中を洗い流す自浄作用があるため、清潔を保つサポートになります。
④ 飲み込む力がついて誤嚥予防に
飲み込む時にむせやすい方や飲み込みにくさを感じている方にもおすすめです。
いかがでしたか?
お口のトレーニングは、道具も必要なく、誰でも手軽にすぐに始められるものばかりです!
毎日のちょっとした時間に取り入れるだけで、お口の健康だけでなく、全身の健康にもつながっていきます。
気づかずそのまま放置してしまうとオーラルフレイルが進行してしまいます。
オーラルフレイルとは、加齢などにより噛む力・飲み込む力・話す力といった口腔機能が徐々に低下していく状態のことを指します。
オーラルフレイルが進行すると、食事がうまく取れず栄養のバランスが偏ってしまうことで全身の衰えにつながってしまったり、滑舌が悪くなり人との会話が減ることで人と接する機会が極端に減ってしまったりします。
また、飲み込む力の低下が原因で誤嚥性肺炎を起こすなど、とくに高齢の方にはよりリスクになります。
「最近むせやすいな」「滑舌が悪くなった気がする」「顔のたるみが気になる」そんなお悩みがある方はもちろんですが、症状がない方も予防のために今日からお口のトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか?
老若男女問わず効果があるトレーニングですので、ぜひご家族みんなでやってみてくださいね。
わからないことや気になることがあれば、スタッフにお気軽にご相談ください。
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