Director's Dental Blog
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会 会員
公益社団法人 日本口腔インプラント学会 会員
ILSC即時荷重研究会 理事
千葉県船橋市 船橋森谷歯科クリニック 院長
歯科医師 丸林浩太郎
歯科衛生士 中島里佳
こんにちは!
千葉県船橋市の歯医者、船橋森谷歯科クリニック、歯科衛生士の中島里佳です。
前回は「歯磨きの時間について」のお話でした。
今回は内服薬の副作用が及ぼすお口の中への影響についてのお話をしていきます。
世の中にはたくさんの種類のお薬がありますが、薬の副作用でお口の中に症状が出てしまうものがあることをご存知ですか?
日々の診療でも患者さまからよくお聞きする代表的な症状をいくつかお話しします。
・口が乾く
・喋りにくい
・飲み込みにくい
・舌のひび割れ、痛み
・味覚障害
・口臭
など
副作用として口腔乾燥を引きおこすお薬は多く、よく外来でも見られる症状です。
口腔乾燥を引き起こす副作用がある代表的なお薬としては、
血圧を下げる降圧剤
アレルギー症状をおさえる抗ヒスタミン剤
精神鎮静剤
利尿剤
などが挙げられます。
唾液には、自浄作用というお口の中の汚れを洗い流してくれる働きがあるため、唾液の分泌量が減少しお口の中が乾燥すると衛生状態が悪くなりむし歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
しかし、それらのお薬の服用を中止するのは難しい場合が多いため、主治医の先生と相談して可能であればお薬を変えてもらったり、弱いお薬に変更するなどの対策をしていただくとよいと思います。
それができない場合は、うがい薬や保湿剤を使いお口の中を潤したり、ガムを噛んだり、唾液腺マッサージなどで唾液腺を刺激して唾液の分泌を促すのが効果的です。
・ピリピリ痛む
・舌や粘膜に白い苔のようなものが付き、拭うととれる
・舌や粘膜が赤く腫れる
口腔カンジダ症は、抗生物質やステロイド薬の長期間服用や免疫力が下がっている場合などお口の中の菌のバランス(細菌叢)が崩れているときに、口の中に常に存在するカビ菌(真菌)の一種であるカンジダ菌が増えると症状が出ます。
カンジダ菌は口腔清掃不良や入れ歯の使用、お口の中が乾燥している方にも起こりやすいため、予防としてはお口の中や入れ歯を清潔に保つ、唾液腺マッサージや保湿剤でお口の中を潤すのが効果的です。
発症してしまった場合はカビ菌に効くお薬(抗真菌薬)を塗布したり、服用したりします。
・歯の痛み
・顎の痛み
・(進行すると)膿が出る、骨が露出する
など
顎骨壊死は、骨粗鬆症の治療、悪性腫瘍の骨転移の抑制、ステロイド治療の副作用防止の目的などで使用されるビスホスホネート製剤(BP製剤)の骨の吸収を抑制する作用の影響で、感染した顎の骨がうまく吸収されずそのまま残ってしまうことで起こる症状です。
顎骨壊死はお口の中に感染がなければ生じないため、できるだけ口腔内の細菌数を減少させ清潔を保つことがポイントです。
初期の場合はお口の中の洗浄や抗菌薬での治療を行い、進行して骨が壊死しまっている場合はその部分を除去する手術を行う場合もあります。
また、肥満や飲酒、喫煙も顎骨壊死のリスクを高めるといわれているため注意が必要です。
お薬には病気を治したり症状を和らげる主作用と、その裏にはあまり起こってほしくない副作用が必ずあります。
その薬の主作用と副作用を天秤にかけて、副作用を考えた上で主作用のほうがメリットが大きい場合にお薬を使います。
歯科でも上記のような副作用が関係してくる場合もあるため、安全に治療を進めていくためにも服用しているお薬は把握しておく必要があります。
とくに顎骨壊死を引き起こす可能性のあるビスホスホネート製剤は抜歯などの外科処置を行う際は注意が必要です。
お薬手帳やこのようなカードがあると分かりやすいため、新しいお薬の服用や内服薬の変更がある場合は必ずスタッフに伝えていただきたいです!
公益社団法人 日本口腔外科学会 認定医
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会 会員
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