Director's Dental Blog
こんにちは!
千葉県船橋市の歯医者、森谷歯科クリニックの歯科衛生士、中島里佳です。
以前のブログで歯周病(歯槽膿漏)についてお話しさせていただきました。
今回はその治療の流れと方法について詳しくお話をしていこうと思います。
まずは歯周病がどのくらい進行しているかを検査していきます。
この検査では歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)の深さや歯茎からの出血、歯の揺れの有無とその程度を見ていきます。
歯周ポケットが3mm以下であれば健康、4mm以上の場合は歯周病の可能性があります。
また、レントゲンの写真も合わせて歯を支える骨の状態や、歯茎の下の方に付着している歯石の有無を確認していきます。
歯周病治療の基本は歯石除去と機械的な歯面の清掃(バイオフィルムの除去)です。
歯石除去はクリーニングと考えている患者さまも多くいらっしゃいますが、歯石除去はれっきとした歯周病治療の一つなんです。
そして、歯石除去といっても歯茎より上の歯面に付着している”縁上歯石”を除去するスケーリングと歯茎より下(歯茎に隠れている部分)の歯面に付着している”縁下歯石”を除去するスケーリングルートプレーニング(SRP)の2種類があります。
1.スケーリング
多くの場合は超音波の振動で固まった歯石を砕いて歯面から剥がしとる処置です。
主に目視で確認できる歯石を除去していくものです。
また歯石にはなっていなくても強固に歯面に付着しているバイオフィルム(細菌の塊)もしていきます。
一般的にいう歯石除去はこのスケーリングを意味していることが多いです。
スケーリングは歯周病治療の基本中の基本です。
スケーリングをするだけでも歯茎の赤みや出血がずいぶん治まってくることもあります。
スケーリングで除去する歯石は黄白色で比較的やわらかく、歯面からも剥がれやすいため、一度に多くの範囲の歯石を除去こすることが可能です。
多くの場合、1~2回の来院で上下すべての歯の歯石を除去することができます。
しかし、残念ながらスケーリングだけでは歯周病はよくならないことも多くあります。
2.スケーリングルートプレーニング(SRP)
SRPは歯周ポケットの深いところに入り込んだ歯石(縁下歯石)や汚染されたセメント質を除去し、歯の根(root)の表面を滑沢(plane)にする処置です。
前述のスケーリングで除去する歯石は黄白色で比較的やわらかく、歯面からも剥がれやすいのが特徴ですが、SRPで除去する歯石(縁下歯石)は黒く、硬く、歯面に対し非常に強固に付着しているのが特徴です。
しかし、縁下歯石はその特徴故に一気に広い範囲の歯石を除去することは難しく、上下すべての歯のSRPを行うには6回程度の来院回数がかかってしまいます。
また、場合によっては麻酔を行ってSRPを行うことも珍しくありません。
普段の歯磨きで落としきれていない汚れ(歯垢)が放置されると、唾液の中のカルシウムとくっついて石のように硬くなります。これが歯石です。
歯石は硬く、歯にこびりついているため普段の歯磨きでは落とすことができません。
その上、歯石の表面は軽石のように表面がザラザラしているため、滑沢な歯の表面より歯垢が付着しやすくなります。
そのため専用の器具(スケーラー)を使い歯石を落とす必要があります。
また、歯周病が進行し歯周ポケットが深くなってしまった場合、歯周ポケットの中に歯周病の原因菌が入り込み毒素(内毒素)を出します。
その内毒素が歯の表面のセメント質を汚染させます。
汚染されたセメント質が残ったままだと歯石を除去しても歯肉が歯の根にくっつかず歯周ポケットが改善されません。
したがって歯周ポケットを浅くするためには縁下歯石や汚染セメント質をスケーリングで除去し、ルートプレーニングをすることで歯の根の表面を滑沢化し、歯肉が歯とくっつくようにする必要があるのです。
歯周病は歯を失う原因の第1位にもなっているとても怖い病気で、全身疾患とも深く関わっています。
歯周病の怖いところは、自覚症状が現れにくいところです。
歯がぐらぐらしてきたときにはかなり歯周病が進行している可能性があります。
歯石除去は歯周病治療の基本です。
そしてむし歯治療もそうですが歯周病治療の成功には歯科医療を提供する側のプロケアと患者さまに行っていただくセルフケア(日頃の歯磨き)がしっかりとコラボレーションことが必要不可欠です。
森谷歯科クリニックでは、治療の必要性と患者さまにご自宅で行っていただきたいことをしっかりと説明し、患者さまにも治療に参加していただき、歯科医師、歯科衛生士、患者さまの三位一体での治療を目指しています。
とはいえ、一番大切なのはむし歯や歯周病にならないということです。
ぜひ早めに検査を受け、歯周病を予防・早めの治療を行っていきましょう!
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